山深い峡谷に湧き出でる白い雲が、
幽玄な巨石の山肌を静かに包み込んで行く。
その壮大な天上の光景から、深い慈しみさえ伝わってくる。
『寒山詩』
重巌我ト居 重巌に我れト居す
鳥道絶人跡 鳥道人跡を絶す。
庭際何所有 庭際何んの有る所ぞ、
白雲抱幽石 白雲幽石を抱く。
住茲凡幾年 ここに住むことおよそ幾年、
屡見春冬易 しばしば春冬のかわるを見る。
寄語鐘鼎家 語を寄す鐘鼎(しょうてい)の家、
虚名定無益 虚名定まらず益無し